Uploaded 08 July, 2001 Carbon Nanomaterials Prepared by Catalytic Chemical Vapor Deposition (CVD) |
熱フィラメントCVD(HF-CVD)装置 | ||
主な実験条件は次のとおりです。
圧力: | 大気圧 |
原料ガス: | エチレン(C2H4) (ガス流量:30〜90 sccm) |
触媒膜: | 鉄(Fe),ニッケル(Ni),亜鉛(Zn) およびそれらの酸化物(FeO, NiO, ZnO) |
触媒膜膜厚: | 2〜10 nm |
触媒膜蒸着法: | シールド型真空アーク蒸着 |
基板: | シリコン(Si),銅(Cu) |
電気炉温度: | 600〜700℃ |
熱フィラメント温度: | 約 1,000℃ |
反応・堆積時間: | 120 min |
CVDプロセスは,以下のとおりです。
Step 1: 反応炉のパージと加熱(Ar, 400 sccm; 30〜45 min)
Step 2: 反応・堆積(C2H4)
Step 3: 冷却(Ar,400 sccm; 60〜70 min)
まず,格子状のパターンマスクを介してシリコン(Si)基板に触媒膜を蒸着し,触媒膜の個所だけが反応するかどうか確かめました。次の図は,鉄(Fe)膜と酸化亜鉛(ZnO)膜の場合の結果(電子顕微鏡写真)です。白く写っている個所が触媒膜が蒸着してある個所で,そこに炭素材料が堆積していることを示しています。触媒膜がないところ(黒く写っている個所:Si基板)には,炭素材料の堆積はありませんでした。
Fe膜(Si基板) | ZnO膜(Si基板) | |
触媒膜/Si基板に堆積した炭素材料を観察してみました(C2H4ガス流量:80 sccm)。その結果の一部を次に示します。
同図から,珊瑚状の炭素物質が合成されたことがわかります。
NiO膜(Si基板) | Zn膜(Si基板) | ZnO膜(Si基板) |
触媒膜/Cu基板に堆積した炭素材料を観察してみました。すると,下の電子顕微鏡写真のように,らせん構造を持つ炭素材料が形成されていました。このようなコイル状の物質は,触媒としてNi,Zn,およびZnO膜を用いたときに観察されました。なかでも,Niの場合がらせん状の物質を合成するのに効果的でした。
カーボンサブマイクロコイル (Carbon Sub-microcoil) |
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カーボンナノコイル (Carbon Nanocoil) |
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カーボンナノツイスト (Carbon Nanotwist) |
古くから,繊維状の炭素材料としてカーボンファイバ(真っ直ぐのもの)が知られていました。カーボンファイバがらせん状(コイル状)になったマイクロサイズの材料を,これまで,岐阜大学工学部教授
元島栖二 先生が合成されていました。今回,発見したものは,それよりも小さいため,『カーボンサブマイクロコイル』と呼ぶことにし,さらに小さいものを『カーボンナノコイル』と呼ぶことにしました。また,ナノコイルの一種ではありますが,「ねじれ」が極めて強く,コイルの穴がないようなものを『カーボンナノツイスト』と呼ぶことにしました。
我々がこれらの物質を発見したと同時期に,大阪府立大学工学部教授 中山喜萬
先生のグループでも合成しています。中山先生のグループでは,Fe-ITO(鉄-酸化インジウムすず)系の触媒を使っています。
カーボンナノコイルやナノツイストの研究・応用等を検討されたい方,是非ご連絡ください。